発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間 in 府中市美術館

府中市美術館では府中ゆかりの画家・植竹邦良（1928～2013）による「発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間」が2023年5月20日（土）から7月9日（日）まで開催されています。
植竹邦良は1960年代以降の安保闘争や学園紛争など世相を象徴する事件に題材を取りつつ、戦中の記憶や地形・建築といったモチーフへの執着を混在させ、細部が増殖しつつ反復するダイナミックな世界を構築します。その徹底した細密描写による異様な迫力に私たちは心を奪われ、植竹独自の世界観を旅することになるでしょう。

 

「発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間」は、これまであまり知られていない植竹邦良の画業を3部構成で振り返ります。また、植竹が接点を持ち、多くを吸収した4名の「前衛」画家の特集展示を含め、戦後ニッポンの政治、社会、都市開発といった世相にまで想いを及ばせることができるでしょう。
同じ時代を通り抜けてきた方にとってはもちろん、コンピュータグラフィックを見慣れた若い世代にとっても新たな発見や驚きのある興味深い体験になるのではないでしょうか。

 

【展示構成】

１　焼跡からはじまる　
植竹邦良は1928年、昭和初期の東京・品川に生まれ、赤羽で育ちます。戦後は工場実習として米軍管理下の印刷工場で働きつつ、画家・赤穴宏の手引で絵を学び始め、猪熊弦一郎主宰の田園調布純粋美術研究所に通います。
1950年代初頭は、米ソ冷戦の顕在化や朝鮮戦争開戦といった事態をうけ、反戦平和運動や様々な社会運動が熱を帯びていた時代です。若き日の植竹もこれらの運動に接近し「ニッポン展」などに出品を重ねます。この頃のスケッチなどから、焼跡から画家を目指し、出発した植竹の歩みを見ることができます。

 

２　闘争から深める幻想
1960年代以降、植竹は様々なモチーフが入り乱れ、反復しながらつながっていく夢想的空間の構成を展開していきます。そこには戦時下の記憶や、安保闘争・学園紛争といった社会の状況が複雑に編み込まれています。世相を象徴するモチーフと、自身の私的な記憶や執着を混在させ、絵画のなかに無限につづく夢想空間が広がっていきます。

 

 

 

３　地形と都市のダイナミズム
植竹の作品は、現実ではありえない空想の空間を描きつつ、そのなかに奇妙な実在感を備えていることが特徴的です。現実の地形や建築、都市の細部にわたる描写は、その構成要素の一つで、幼い頃から興味を持っていた地層や地形につながる地形模型を介して描写される世界は、現実と非現実の境にあるような不思議な感覚を呼び起こします。
植竹が晩年まで継続した都市風景のスケッチは、高度経済成長下で増殖していく巨大構造物を映し出し、植竹絵画をますますダイナミックなものにしています。

 

 

特集展示　1960 前後の「前衛」
植竹は1950年代から前衛美術会周辺の画家たちと接点を持ち、社会性の強い題材と私的なイメージの距離感を模索していた彼らの作品から多くを吸収しました。中村宏、池田龍雄、尾藤豊、桂川寛の４作家の特集展示により、当時の社会と「前衛」の状況をうかがうことができます。

 

タイトル	発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間
会期	2023年5月20日（土）～ 7月9日（日）
会場	府中市美術館2階 企画展示室
住所	〒183-0001　東京都府中市浅間町1丁目3番地（都立府中の森公園内）
Webサイト	https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/tenrankai/kikakuten/2023_UETAKE_Kuniyoshi_exhibition.html
開館時間	午前10時～午後5時（入館は午後4時30分まで）
休館日	月曜日
料金	一般： 700円（560円） 高校・大学生： 350円（280円） 小・中学生： 150円（120円）
注記	※お支払いは現金のみとなります。 ※（　 ）内は20名以上の団体料金。 ※未就学児および障害者手帳等をお持ちの方は無料。 ※府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」提示で無料。 ※「発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間」展観覧料金で常設展もご覧いただけます。 ※最新の開館状況については、当館ウェブサイト、またはハローダイヤル等にてご確認ください。